ええっ!1万人の願いが「不採択」ですか?!-「生田浄水場を残せ」の署名が!!
27日、市議会環境委員会で、生田浄水場の存続を求める請願が審査されました。昨年8月「継続審査」となってから、さらに1万人の署名が集まり、新たな事実も出てきたので、ぜひ再審議を、と委員長にお願いし実現したものです。
朝10時から昼2時近くまで審議はおこなわれました。私は、自分の委員会や午後の予定があって、ほとんど傍聴できなかったのですが、結果がなんと「不採択」になったと聞き、ちょっと声が出ませんでした。共産党は採択を主張しましたが、他の議員すべてーー民主、自民、公明、ネット、無所属の議員すべてが「不採択」を主張し、多数決で決まったというのです。理由は「市の計画を変えることはできないから」。では何のために議員は存在するのか!
この署名が始まったのは昨年5月でした。最初は「地下水はおいしい、このおいしい水をやめないで」という素朴な要求からはじまりました。しかし住民の皆さんや議会でも私が何度も市に対して「なぜやめなければならないのか」とただしていく中で、これは市民の水をどこから引いてくるのか、という大きな問題であることがわかってきました。市内にある、最も近い自己水源をやめて、市民の飲み水の半分以上をとおく56キロも離れた小田原市の飯泉取水堰というところから引っ張ってくるように切り替えるのです。その理由は、たいへんな借金を背負っている、川崎市も出資している「神奈川県内広域水道企業団」を支えなければいけないから、です。
この企業団は、神奈川県、横浜市、横須賀市、川崎市が出資して、巨大な相模大堰や宮ケ瀬ダムなど莫大な過大投資をして水道事業を始めました。ほんの10数年前のことです。みんな借金でした。しかしこれらの施設が出来上がったときにはすでに景気は悪くなり、水を作ってもあまるだけ。川崎市も工業用にたくさん必要だと申し込みましたが、そのほとんど全部がいらなくなっています。「でも、借金を返すためにはこの水を買い続けるしかない」。これが川崎市の自己水源である地下水を原水とする生田浄水場廃止の唯一の理由です。
企業団は小田原と寒川に取水堰を持っています。川崎は初めから小田原からの水を買っていました。いまでも市内の飲み水の2割程度は混じっています。これを生田を廃止するだけでなく、もう1つの自己水源である相模湖からの水も減らして、企業団の水を主役にしようとしています。しかし小田原の酒匂川の最下流、飯泉取水堰から引っ張ってくることは、たくさんのリスクがあることが、27日の委員会でも、つぎつぎとあきらかになりました。
まず、河口から2キロという最下流にあるため、水をどこに運ぶにもポンプを使って持ち上げなければなりません。先日見学しましたが、このポンプの出力は“東洋一”。引き込む電力も6万キロワットで、万一停電になったとき、こんな電力をバックアップする自家発電装置は存在しません。電気が復旧するまで水はこなくなってしまうのです。答弁でもそれは認めました。また、小田原と川崎の間には、日本で最も危険性が高いとされる活断層がはしっており、これが動けば導水管は折れてしまう。これも否定できませんでした。多摩区のこんな近くにとうとうと地下水が流れていて、いざというときにもすぐに使えるのに、それをやめて、明らかにリスクの高い遠くの水にしたら市民の命の水を確保できない。だれが聴いても明らかな事実でした。
飯泉の水が地下水に比べて汚染度が高く、処理コストもかかることも明らかになりました。都市部を流れる川の下流から水を取るのですからあたりまえですが、それにしても、原水には雑菌や大腸菌が多く、委員会の資料にはあえて載っていなった農薬汚染もひんぱんで、答弁では「浄水処理をすれば日本の基準を満たす水になる」が、「EUの基準を当てはめると飲料水としては許可にならない」という水であることも明らかになりました。しかもいま、飯泉はたいへんなことになっているという報告もあったのです。
9月8日の台風で、酒匂川の上流の静岡県で激甚災害指定を受けるほどのたいへんな土砂崩れがあちこちで起こり、復旧に数年かかります。その間、酒匂川に土砂がずっと流れ込み続けるというのです。先日、私たちが飯泉取水堰を見学したとき、確かにものすごくにごっていました。すぐ直るのかと思ったら、数年間はこの状態だというのです。泥ですから取り除けば水としてはきれいにはなりますが、そのコストは年間数千万円だと試算されており、川崎市に「水を薄めるために相模湖の水を回してほしい」という依頼もあったそうです。そういう事態が起こっているのに、何も見直さずに粛々と「生田をやめる」「相模湖の水も減らす」ということでいいのか。情勢が変わったのだから計画も見直す必要があるのではないか。共産党議員が追及しましたが、市の態度が変わらないだけでなく、議員もそれを擁護する。これが白日の下にさらされました。
委員会には40人近くの市民が傍聴に集まり、この結果には怒りの声が上がっていました。しかし、どう考えても生田浄水場をなくす道理はありません。実際に廃止するのは6年先です。たたかいの手を緩めないで次へすすもうという気概です。いま「川崎の安全でおいしい水道水を守る会」では、企業団に対して「コストを削減し、川崎市が過大な水道料金を払わなくてもよい組織になってほしい」という陳情をおこなっており、これが11月中旬にも企業団議会で審査されることになって、それまでにたくさんの署名をお願いしています。
それにしても、むだな公共事業はこうして延々と市民、県民を苦しめ続けるのですね。なんとかして、企業団の経営も正して、後世に安全でおいしくて安い水を残したいと思います。いまの議会では道理が通らなくても、市民の皆さんの願いをしっかり背負って堂々と訴え続けていけば道は開ける。これは私の信念です。