小田急本社に交渉に行きました
小田急線の向ヶ丘遊園駅から新百合ヶ丘駅までを、地下の2層化で複々線にしてほしいと運動が始まってから、もう20年以上たちます。ほとんど毎年本社交渉をおこなってきましたが、ここ2年ほどお休みしてしまいました。あらためて、「小田急線の地下2層化・複々線化を求める会」のみなさんと、交渉を行いました。
大村新一郎代表が、要望書を手渡しました。要望項目は、メインの複々線化のほか、「登戸駅に快速急行を止めてほしい」「向ヶ丘遊園駅に多摩急行を止めてほしい」「生田駅、読売ランド前駅に駐輪場の増設を」「柿生駅北口前の通路の拡幅を」など、地元の人に取っては本当に切実な問題を訴えました。小田急側から、それぞれに回答があり、どれも「むずかしい」という話しでしたが、それでもみんなで口々に改善を訴える中で、手ごたえもありました。
複々線化問題では、「決してあきらめたわけではない」といいながら、「これから人口減少時代に向かい、設備投資をするかどうかは慎重に検討する」との回答でした。前回までは「東北沢ー世田谷代田間の複々線化事業が終わったら検討する」といっていましたが、それがいよいよめどがつき、国の運輸政策審議会では遊園ー新百合間は2015年までに複々線化に着手する路線として認定されていることから、小田急の判断が注目されていたのですが、どうも検討はしていないようです。私から、「人口減少時代というが、川崎市はこれから20年間に渡って人口は増え続け、40年後は減るといっても現在の人口に戻るだけ。しかもこの首都圏では働く世代の人口が集中してすむと予想されているので、少なくともあと数十年は、いまの鉄道利用者が減ることはない」と指摘し、「川崎市もいまだに住宅地を開発しており、いま小田急さんが複々線化を整備することは、小田急沿線のほうが快適に通勤できるというステイタスになり、かえって利用が広がる可能性を持っている」と複々線化のメリットを明らかにしました。
また、踏み切りの危険性も皆さんから出され、小田急側も「踏み切りはできるだけなくしたいと思っている」ということが出されました。国は踏み切りをなくすため、鉄道を高架や地下にして、ふみきりをなくす連続立体交差事業の採択要件を大きく緩和したため、小田急の負担をかなり小さくして、国と自治体で費用負担をする条件が広がっています。これでこの区間も検討の余地が生まれており、複々線化を決断するには大きな要因であることも指摘しました。小田急側はこれらの条件を「たしかにそうですね」と認め、「向ヶ丘遊園の先には幹線道路が高架で走っているため、鉄道を複々線化するためには地下にするしかない」という見解も明らかにしました。
鉄道事業者は、今ある路線にいくらお金を注ぎ込んでもお客が増えないことから、利用客の要求に正面からこたえないことにしばしばぶつかります。しかし公共輸送機関としての責任がありますから、粘り強く求めていく中で、必ず変わっていくと確信しています。小田急線のあの殺人的な混雑、そして1時間に6分しかあかない「開かずの踏み切り」の解消のために、あきらめずに住民の皆さんといっしょにがんばっていこうと思います。