井口まみ
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ドメスティックバイオレンスをなくすには

生活保護問題議員研修会の分科会で「ドメスティックバイオレンス(DV)被害者を支援するために」に参加しました。目からうろこ!でした。

報告をしたのは、被害者を支援しているエープラスという団体です。川崎市のDVの対応は「ひたすら夫から逃げる」ということだけなので、こうした被害者を支援する団体や当事者グループが、日本のどこかにあるとは知っていましたが、実際にお会いしたのは初めてでした。私のまわりでも、離婚相談の多くはこのDVがらみで、いつも行政に相談しても、逃げることしか手立てがないということに、とても不満を持っていました。お話の中で、本当に被害者に寄り添う支援とは何なのか、考えることができました。

DV被害者は、その被害のためにたくさんの困難を抱えます。そのひとつひとつを解決する手立てをとりながら、最終的にはその人が自分の人生をしっかり歩き始めること、それがどうしても必要です。ただ逃げ回っているだけではいつまでたっても隠れていなければなりません。そのために当事者同士が気軽におしゃべりしたり相談できる当事者グループの存在が大きいといいます。「自分だけではない」「この人みたいに頑張って生きよう」という場面に出会うと、本当にどんな人もみるみる生きる力が湧いてくるのだそうです。

それと、この団体が支援しているのが、加害者更生プログラムです。被害者と加害者の双方が了解した人のみだそうですが、加害者のカウンセリングを行っています。DVとは根本的には人権侵害なので、人の人権を踏みにじってはばからない人が、そう簡単に心を入れ替えることはないとは言われましたが、これも逃げ回らないで正面から人生を考えるひとつです。

そしてほんとうにDVをなくすには、教育に待たなければならないといわれました。家庭であろうがなんであろうが、他人の人権を踏みにじってはならないということをしっかりと身につけることが、未然防止につながるということでした。「男だから殴ってもいい」「女だから仕方ない」という考えを本当に一掃しないと、なくならない。人権教育として学校で講演をする活動もしているのだそうです。

時代の中で生きている私たちは、その時代の考え方から逃れることはできません。それを認識して変えていくこと。それが時代を前に進める力だということを改めて感じました。