中学校給食ー自校方式を検討している中野島中学校を視察しました
川崎市教育委員会は、2016年度から全校で一斉に中学校給食を始めると決めましたが、どこで給食を作るのか、自校方式か、センター方式か、業者への委託か、具体的に決めていません。そのなかで、「ここなら学校の中に給食室を建てられる可能性がある」という学校を3つ、公表しました。宮前区犬蔵中、多摩区南菅中と中野島中です。どういう条件なら給食室をたてて自校方式でできるのか、具体的に聞こうと、議員団だけでなく、市民の皆さんもいっしょに中野島中にうかがいました。
中野島駅を降りてすぐそばに中野島小学校があります。中学に行く前に、大規模校で毎日1000食を作っている中小の給食室を見学しました。約200平方メートル、お釜が6つも並んでいて、6人の職員で作っているそうです。出来上がった給食の食缶をワゴンに乗せて、専用のエレベーターで各階に持ち上げ、給食職員が教室の前まで運んでおきます。そうすれば、授業が終わってすぐに配膳ができ、こぼしたりする事故も防げます。1000食も作るとなると、さすがに200平方メートルでは狭いとのことでした。
その知識を持って、歩いて数分の中中(なかちゅう)へ。うちの娘の母校で、久しぶりに学校の中に入りました。教育委員会が業者に委託して考えたというプランをもとに、校長先生と教頭先生に案内していただきました。その案は、校庭に約370平方メートルの給食室を建設するというものです。28・5メートル×13メートルと、ほぼ25メートルプールに匹敵する大きさの建物。案に示された場所だとテニス部の練習スペースがほぼなくなり、中中のシンボルの桜の木も危ういということで、ほかに案はないのかという意見も出ているそうです。
まず、校長先生に自校方式の学校に指名された感想をうかがうと、「自校方式なら温かくおいしい食事ができてうれしい。目の前で調理することで、作る人が見え、感謝の気持ちを伝えることができて、とてもいいと思う」と言われる一方で「運動部が盛んで、いまでも校庭を交代で使っている。それを狭められるのは生徒の活動の支障になり、残念」と言われました。
実際に学校を案内していただくと、実は校長先生は、校庭を狭めずに給食室ができないかいろいろ考えておられることがよくわかりました。校庭をぐるっと回って、「ここに作業棟を移設して、ここをあければ無駄なく給食室になると思うんですけど」と校長先生が具体的に示します。すると、「ここから、渡り廊下をまわして、この廊下につなげばいいと思うんですよね」と、教頭先生も力説します。ああ、先生方は、自校方式を実現するために一生懸命考えておられるんだなあ、と思いました。
私たちも口々にいろんな提案をしてみます。「2階建てにすればいいのでないか」「給食室がいらないセンター方式にしても、配膳室は必要。大して変わらないのでは」「自校方式で栄養士を配置すれば、給食の数の注文などの実務で教員がさらに仕事が増えることを防ぐことができる」など、同行した教育委員会の職員とも意見をかわしました。
共産党は代表質問で大事な提起をしています。給食室を作ることが学校教育に支障をきたさないように場所を探すと言いますが、給食自体が重要な教育の一環です。教室を作るのと同じくらいの位置づけでいいはずです。そしてもう一つ大事な観点がありました。現場の声をちゃんと聴くことです。現場にはいろんな知恵がある。それを実感しました。
難しい学校もあるでしょうが、多くの学校では、知恵を絞って少し手を加えれば給食室はできるのではないでしょうか。そのときに、予算をけちってはいけないと思いました。わずかな予算をけちってあとで後悔するようなことにならないためにも、どの学校も自校方式で給食室をつくるよう、いっそう頑張ろうと思った視察でした。