生命を生み出す母親は…平和の思いをひきつぐ決意新たに
昨年末、91歳で人生の大先輩、木村富子さんがなくなりました。多摩区のみならず川崎市の女性運動の先駆けだったので、みんなでその功績を語り合おうと、「しのぶ会」を呼びかけたら、80人も集まり、こころあたたまる会になりました。
毎年夏、「日本母親大会」という大イベントがあります。今年60回になります。日本中の女性が1か所に1万人集まって、女性の最大の願いである「生命をまもれ」「平和をまもれ」という思いを共有し、学び、意見を交わしあう場です。そのスローガンー「生命を生み出す母親は、生命を育て、生命を守ることを望みます」を最初に聞いたとき、なんていい言葉だろうと思いました。私が最初に参加したのは結婚したばかりで、まだ子どもはいない時でしたが、こどもいようがいまいが、このスローガンで一致できる人は全員参加する資格があるのよ、と引き寄せられるように毎年夏になると出かけて行ったものでした。
この母親大会を川崎市でも開催しています。その実行委員長を長く務めたのが木村さんでした。木村さんは6人の子育てをし、いまやひ孫も含めてみんなが集まると30人を軽く超えるという大家族の長でした。いつも着物をピシッと来て、どんな集会でもさっそうとやってこられます。子どもを見る目はほんとにやさしいのに、社会悪に対する怒りはすさまじいものでした。自衛隊が海外に行けるようになる、憲法を変えようとする、消費税を上げようとする、そんなニュースを聞くと、真っ先に怒りの声をあげていました。母親大会はその怒りをあらわし、みんなの力で変えていこうという展望を持つところとして木村さんのよりどころでもありました。
そんな木村さんの在りし日の姿を何人もの方に語っていただき、思い出の写真も母親大会に参加している木村さんの姿だ、なつかしい、なんて見ているうちに、「ああ、生きている自分たちがもっと頑張らなくては」という思いがじわじわと会場全体に広がった気がします。写真の木村さんが、「集団的自衛権だって?!憲法変えるだって?!あんたたち、なにやっているのよ」って、ほんとに言い出しそうでした。
故人をしのぶということは、生きている私たちがその思いを引き継いで生き続けることを受け止めなおすということなのだと思いました。ほんとうに身の引き締まる偲ぶ会になりました。木村さん。安らかにお休みください。平和を守り子どもたちを守るたたかいは、私たちが引き継ぎます。