まちづくり委員会の視察で広島市に来ました
今年はまちづくり委員会に所属しています。委員会の視察は広島市と神戸市になり、今日は広島市に来ました。テーマは2014年の8月の豪雨災害からの復興についてです。
広島市役所で危機管理室と復興まちづくり係の担当者から話をうかがいました。1時間に121ミリの豪雨が降り、179軒の家が押し流されて全壊するような土石流が発生。77人が亡くなる大災害でした。それからもうすぐ3年。がれきを撤去し、最大で2400人が避難していた避難所も5か月で閉鎖するなどの応急復旧のあと、復興のために行ったことは何だったのか、がテーマです。
一つは早く情報を伝え、避難するという課題です。これまでは、大雨警報が出たときに注意喚起はするものの、気象庁が土砂災害警戒情報を出すか、実際に計測された雨量が土砂災害の基準を超えて避難勧告を出すまでは、市民に情報は出されませんでした。しかし今後は1時間後、2時間後に基準値を超えると予測される場合でも「避難準備・高齢者等避難開始」を出し、実際に高齢者などは避難を始めるようにするとのことです。情報伝達の方法も、この場合にはLアラートを使うことにしました。さらに、地域ごとに自主防災組織で避難経路や危険個所などを記した防災マップを作成して、地域のつながりをつくっているとのことでした。
もう一つの課題は土石流の起きた谷筋の土砂の流出を抑える事業です。なんと3年で25基もの砂防堰堤ができあがり、雨水排水施設も建設が始まっていました。
実際に砂防堰堤を作っている現場も見せていただきました。最も犠牲者が多かった安佐南区八木地区です。あの押し流された県営住宅は半分は建て直され、人も住んでいました。その頭の上に巨大な砂防堰堤ができあがっています。これが25基。山の風景にうかびあがっています。これは緊急対策で、今後は今回崩れなかった谷筋にもつくっていくそうです。
私の最大の関心は、もともと土質が弱いとわかっているところに無制限に家を建てられるようなしくみをかえられるのか、ということでした。実際に現地を見てみると、斜面の緑を蚕食していくように家が上へ上へと建っています。ものすごい急斜面で、確かに眺めは最高だけど、あきらかに谷筋なのに、どうしてここに家を建てられるのか、というところでした。土質は変わらないのだから、何か新たな規制をかけたのではないかと思い、そういう質問もしてみましたが、残念ながらその担当の部署の方がおられず、詳しいことはわかりませんでした。でも、あまりそういう観点の改善はされていないようでした。
川崎市には土石流が起きるような谷はないとされているので、こんな巨大な砂防堰堤は必要ないのでしょうが、豪雨は起こりえます。121ミリというのがどんなにすごいかというと、80ミリの雨の中では息もできないのだそうです。災害が起きて、あとから同じような手を打つのでは、教訓を学んだことにはならない。繰り返さないために取り入れられることを取り入れていきたいと思います。
今日のうちに神戸に移動しました。新幹線は早いです。