井口まみ
井口まみ井口まみ

鹿児島市の障がい者施設を視察しました

IMG_0209[1]共産党川崎市議員団として、鹿児島市、福岡市の視察に出ました。一日目は鹿児島市です。昨日だったら台風で飛行機が飛ばなかったのですが、今日は蝉の声が響く夏空。緑豊かな広い敷地に、豊かな生活の場がひろがっていました。

IMG_0203[1]8700平方メートルの土地に、社会福祉法人太陽会が運営する入所施設や通所施設、グループホームが木々の間に建っています。でも、入り口の一番手前は蕎麦屋さん、その横がパン屋さんで、その奥には「パスタ&カフェ」の看板が。昼時に行ったのですが、蕎麦屋さんにはサラリーマンが次々に入っていき、カフェには、若い女性がグループでランチを食べに来ています。建物もしゃれた感じで、見た目はとても福祉施設とは思えません。パスタランチをいただきました。就労支援を受ける利用者の方がていねいに配膳してくれました。

IMG_0212[1]中心的な施設は、45年前に設立した入所施設です。現在は「ライフサポートセンターしょうぶ学園」という名前で、40人が施設入所支援を受けています。10年前に改築したときに、開放的で外から鍵をかけない、火がさんさんと差し込む部屋にしたそうです。グループホームやショートステイもあります。ここで暮らす人たちが高齢になっても「ここで暮らしていることがとても楽だ」と思えるようにするには何が必要か、というテーマで次々と作業所をつくってきた。それがいまの「アートスタジオ 工房しょうぶ」だそうです。

障がい者に対する支援というと、健常者の社会に合わせて生きていけるようにすることが当たり前のようになっているが、それはとても苦しい。できないから障がいなのであって、無理やりできるようにすることが福祉なのか。その人が一番楽になるようにするのが支援だ。

IMG_0208[1]この考え方はまさに衝撃的でした。工房しょうぶには織物や刺繍をする工房、木工、陶芸、和紙作りや絵を描く工房などがあります。普通の施設なら、「売れるもの」「見た目のいいもの」を作れるように訓練します。しかしここはちがうのです。その人の内面から湧き出す「つくりたい物を作る」。それを作るために必要な材料や機材、技術を職員が提供するのです。それが後になって芸術として認められていく。東京都美術館に展示された人もいます。今年青山で展示会を行う作品もあります。まあ、本人たちはそんなまわりの評価など関係なく、ただやりたいことをしているだけなのですが、やりたいことを認められることで、精神的に落ち着き、入所施設やグループホームでもとても落ち着いて生活できるようになったのだそうです。

IMG_0220[1]入所施設をなくそうというのが国の動きです。でもどうしても一人では暮らせない人がいます。この敷地の中ならどこに行ってもいいし、やりたいことをどんどんやっていい。その代わり地域の人が自由に出入りできるようにしよう。そういうことからおいしいものを食べられる店をつくり、建物の中に調理室を作って老人クラブが料理教室をやったり、地域の集会所にもなる部屋を作りました。発想が反対なのです。

こんな発想をしている施設長さんと副施設長さんのご夫婦が、それはそれは楽しそうに説明をしてくださいました。「入所施設はパラダイス」といえるようにする余地はまだまだあるのではないか、と言われます。その情熱に圧倒されました。私の中にはまだまだ、こちら側から作った「常識」があって、ひとりの人が生きたいように生きることを無条件に肯定する度量と、障がい者に必要な支援とはそのために行うのだという理解がたりないなあ、と痛感させられました。

やはり百聞は一見に如かず。井の中の蛙ではだめですね。もっと見聞を広めなければ。明日は福岡市です。どんな出会いがあるか楽しみです。