井口まみ
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決算審査特別委員会の質問 その2 川崎港

横浜などと違い、川崎の港はコンビナートの向こうにあって、特に川崎の北部に住んているとなかなか行くこともないところです。港は実は市民生活にとって大きな影響を与えているのです。もちろん、ここから運び込まれたり運び出したりする荷物が、川崎の経済を支えています。だけでなく、市政の大きな焦点になっているのは、巨大なむだづかいと言われた川崎港コンテナターミナルがあるのです。

P1020696今のコンテナターミナルは平成8年に稼働が始まりました。当時360億円以上の投資をして造られたこのターミナル。大きなコンテナを輸入や輸出で13万個扱い、その荷役の手数料などでどんどんお金が入ってくる。人も雇える。税金も増えると言われました。ところがまったく船がきません。1基16億円もする巨大なガントリークレーンが2基、ずっと首を長くして船が来るのを待つという事態で、10年以上たってもそれは変わりません。昨年度は1年間に3万個のコンテナしか扱えませんでした。

ところがこのコンテナターミナルをもっと大きくしよう、もっといろいろ作ろうという計画が持ち上がっています。横浜港、東京港といっしょに京浜港という名前を付けて「国際コンテナ戦略港湾」というのになり、国からどんどんお金をもらって、世界の巨大港湾に対抗する港になろうという計画です。いまは3港あわせて750万個のコンテナを扱っていますが、これを5年後に1050万にして、世界第5位の釜山港に追いつこうというわけです。わたしは質問で、これがいかに無謀な無計画な話かということを追及しました。

だいたい、なぜ川崎港のコンテナターミナルには船が来ないのか、その原因を聞いたのに、答えがないのです。国に提出した計画書には、いろいろな計画が書かれていて、その事業費を聞いたら川崎市部分だけで約1000億円だと答弁されました。でも実はそれもあいまいで、整備する道路や岸壁をわたしたちで試算して足していくと数千億円になる。そのうちのかなりの割合が市民の税金の負担になりますがその割合も決まっていないといいます。

世界の港、特にアジアの港 は、日本をとっくに追い越して、どんどん整備が進んでいます。目標の釜山はすでに10年以上前から整備を進め、今また新しい巨大な港を作っています。そんな写真を議場で皆さんに見てもらいました。世界第2位の上海の写真も出しました。もう世界の荷物はアジア大陸に集まり、また散らばっていく。そんなルートが出来上がっています。いま、この時期に、相模湾の奥で巨大な施設を作っても、本当に船が来るのか、その検討をした形跡がありません。そして川崎だけでも数千億の事業に乗り出して行くなんて、無謀としか言いようがない。そんな恐ろしい事業に、るんるんと乗るわけにいきません。

いっぽうで、この不況で市財政はたいへんだというキャンペーンがはられています。だったらまずやめるのはこういうむだづかいではないのか。そういう思いでこの港シリーズの第1回をおわりました。港シリーズは、これから12月議会に続きます。