井口まみ
井口まみ井口まみ

9月議会は決算審査。水道事業の決算を追及しました

また怒とうのように議会が終わりました。10月6日が閉会でした。9月は昨年度の決算を審査するのが大きな仕事です。決算審査特別委員会というのが設置され、川崎の議会では議員全員で委員会を構成します。他の自治体では各会派から数人が選ばれて委員会を作るようですが、川崎は全員が、一人およそ30分質問できるという、たいへん民主的な運営をしています。

昨年度の事業について、それが市民にとって妥当かどうかということを審査し、来年度の予算案に反映することが目的なので、問題も多岐にわたります。私も特別支援学級の教員配置、五反田川上流の調整池、後期高齢者医療制度などを取り上げました。そのうえで、今回一番時間をとったのが、水道事業の決算でした。

2010年度というのは、水道事業には大きなできことがありました。その前の年の9月、市長選挙の直前でしたが、水道料金を大きく改定したのです。といっても、一般家庭の水道料金は、月50円下がっただけ。しかも3年間だけです。しかし大口利用者、大企業は、たいへんな値下げをしました。川崎市で一番大口利用者というのは、川崎駅西口のラゾーナですが、ここだけで1年間1600万円もの値下げになるのです。実際に決算でどうなったか。大口利用者の値下げ額は2億7000万円になりました。

さらに、工業用水でも値下げがありました。40年前、小田原の酒匂川から横浜や川崎に水を引く計画を作ったときに、臨海部の大企業が「たくさん水がいる」とわざわざ申し入れ、川崎の必要量に25万トン上乗せして契約しました。いろいろ経過があってその上乗せ分の料金は工業用水道の会計から、一般の水道事業の会計に払うこととして、臨海部の大企業が責任を持っていました。近年だいぶこの責任分担は軽減されてきたのですが、ついに、「もうこんなに水は使わない」といって、この責任分担をやめ、水道事業から買っている工場用の水道水は、使った分だけ払う仕組みにしました。そのおかげで臨海部の大企業は、8億4000万円も軽減されることになったのです。

そして2010年度の決算が出てみると、なんと、水道事業全体では8億9000万円も資金不足であったことがわかりました。長沢浄水場の改築工事の費用が、その原因です。もともと積立金があるので、それを使って穴埋めしましたが、その結果資金残高は141億円となり、9億近い資金不足がもし毎年続けば、あと15年で財布は空になる計算です。

おかしな話ではないでしょうか。大口利用者、大企業というのは、そのほとんどがこの不況の中でも利益を上げ、内部留保を溜め込み、しかも市民税は川崎市にはほとんど払っていない存在です。その人たちには11億円も値下げをして、いっぽうで水道事業は耐震とか、老朽化した施設の改築などで赤字になる。法律で水道事業は基本的には水道料金で運営しなければならないことになっています。このまま続けば、水道料金を上げなければならなくなります。それは私たち市民の料金ではないでしょうか。

もともと共産党は、この料金改定に反対でした。修正案を出して、同じ値下げをするなら市民のほうを下げよと主張しました。水は絶対に欠かすことができません。どんなに高くなっても飲まないわけにはいかない。だから市民の命を守るために、水道は営利企業にはやらせないことになっているのです。水道事業は、なんとしても安価で安心でなければなりません。そのために、市民の水道料金が上がらないように、こんな不公平な料金体系はかえよ、と求めました。上下水道事業管理者の答弁は、まったくわけがわからないもので、ただ「だいじょうぶだ」といっただけのものでした。何が大丈夫なのか、これから証明されるでしょう。