ゴミ置き場を作らない住宅建設が許されるか
6月議会の一般質問でとりあげたゴミ置き場問題。2つの事例がありました。
ひとつは、戸建住宅です。川崎市の条例では戸建住宅をいくつも作るときは、10戸以上の場合は、その敷地内にゴミ置き場の設置が義務付けられています。多摩区菅馬場で、ある事業者が10戸はできる敷地があるのに、まず6戸作り、分譲を始めました。ゴミ置き場は敷地内につくっておらず、市と協議して公道にネットをかぶせて出してよいという許可をもらいました。その直後にそのすぐ横のもともとは同一敷地内に4戸建てる計画を提出してきたのです。あきらかに条例逃れです。
川崎市では住民のさまざまな運動があって、一つの敷地をいくつにも分割して、一体にやればかかってくるいろんな規制を逃れるという「小分け開発」というやり方をさせない、独自の規制をつくってきました。しかしゴミ置き場の問題はまだその規制を行っていなかったことが、この問題を引き起こしています。私は「まちづくりの条例でできたことが、環境の分野でできないはずはない。規制を強化すべき。少なくともこの事業者は指導するべき」とただしました。環境局長は「適切に指導する」とこたえました。
もう一つはマンションです。集合住宅は、わざわざ大きさや形を指定して、ゴミ置き場の設置を義務付けています。ところが、このゴミ置き場は「やむをえない理由があるときは、道路に面していなくてもいい」のです。収集日に管理人さんがわざわざ表に運んでいるところをたくさん見かけます。これでは何のためにゴミ置き場の設置を義務付けているかわかりません。夏、道路に何十世帯分もの生ゴミが積み上げられている光景は、決して衛生的だといえません。
議場で写真を見せて、こういう出し方でいいのか、とただしました。環境局長はきちんとゴミ置き場を設置するよう「指導を強化する」といいました。ごみ収集というのは、自治体が市民の公衆衛生を保全する仕事であり、絶対に欠かせない公共の仕事です。それをまっとうしなければなりません。少なくとも新しい住宅を建てるときに、ゴミ置き場をまともに作らないなどということがあってはならない、と強く要望しました。
それにしても、ゴミ置き場をろくに作らずに家を売るという事業者や設計者が許せません。私もたくさんのマンション建設の際の住民説明会に参加しましたが、だいたい事業者はゴミ置き場を適当に置けばいいという感じで設計してきます。しかしそれでは近隣に迷惑をかけます。ゴミ置き場は道路に面してほしい。屋根をつけ、扉をつけてにおいなどが外に出ないようにしてほしいという住民の要望をしっかり聞いてくれる事業者もたくさんいました。道路の近くにゴミ置き場を作っては、売れるいい部屋が減る、ということを平然と言う事業者もいましたが、それを認めていてはまじめな事業者とあまりに不公平です。事業者や設計者のモラルを心から問いたいと思います。