水道料金の50円値下げをめぐって紛糾?!
12月議会と総選挙が重なって、てんやわんやの12月でした。遅ればせながら議会の報告を。今回は総選挙のために一般質問が半分の2日間になり、各会派とも質問者を半分にしぼらざるを得なかったため、わたしは、一般質問を行いませんでした。
私が所属している環境委員会ではある議案をめぐって紛糾し、2日間にわたって議論しました。一般世帯の水道料金を毎月50円値下げする条例を3年間延長するという議案です。日本共産党はこの議案には賛成しました。
今回の値下げの延長には自民、公明、民主、みんなの党、無所属議員。つまり共産党以外のすべての会派が「問題あり」と述べました。1世帯50円値下げすると年間で約4億4千万、3年間で約13億6千万円が市民に還元されると見込んでいます。これだけのお金があったら耐震対策にまわすべきだというのが反対の理由です。13億6千万も余裕があるのなら、別会計になっていて法律上はむずかしい下水道事業に、あえてまわしたらどうかという意見も出ました。平岡陽一・上下水道事業管理者は「耐震対策はめいっぱいがんばってやっている。それでもなお、この3年間は余剰分がでるので、税金などが上がっている昨今、たとえ50円でも公共料金を値下げして市民生活を守るという行政の役割を果したいと考えた」と答弁を繰り返しました。
耐震をすすめるというのは、当然です。しかしこの議論は大本に立ち返らなければなりません。3年前に行われたのは水道料金の改定でした。その際、大口利用者には恒久的に大幅値下げを行いました。典型的だったのは、日本一の売上げを誇るラゾーナが年間1600万円も水道料金が安くなるなど、年間10億円近い値下げを大企業や大口利用者に行いました。一方市民には、「行革効果の還元」といって、3年間だけおこぼれのように月50円の値下げを行ったのです。このとき、共産党は、10億円も値下げできるのならすべて一般世帯に還元せよと議案の修正案を出して、原案に反対しました。
そうなのです。耐震化のお金は従前の料金体系ならちゃんと確保できるのです。取るべきところは別にある。それを放置して、たとえ50円でもくらしの厳しい庶民への値下げは反対するというのは、どっちのほうを向いて政治をしているのかが問われるというものです。私は一般世帯への公共料金の値下げは当然であるとして議案に賛成するとともに、意見をきちんと述べました。そもそも、大口利用者の水道料金は恒久的に下げたのに、一般世帯は水道事業の行革で効果が上がってお金があまったら行うということ自体がおかしい。儲けを上げている大口利用者や大企業の料金を元に戻して、耐震対策を行うべきで、一般世帯の料金を恒常的に下げるべきと考える、と。
議案は結局自民、公明、共産の賛成で6対4で可決しました。しかし、自民党から付帯決議案が出されました。耐震化を進めること、もっと行革を進めることなどが盛り込まれています。耐震化はいいのですが、行革の名のもとに、これ以上上下水道局が人減らしを行ったら、高度な専門性が求められる水道の技術者がいなくなってしまいます。そんなことをしなくてもとるべきところから取ればいいのですから、共産党は付帯決議案には反対しました。議案に反対すると付帯決議案にも反対になるので、民主とみんなの党と無所属議員も反対でした。そうしたら5対5の可否同数。委員長が共産党の石川議員なので、「否決とします」。付帯決議案は否決となりました。
2日間にわたって、賛成するのか反対するのかさんざんゆれた党や、「たった50円値下げするのなら、耐震化に」と主張してはばからない党を見ていて、本当に取るべきところから取るというメスをいれられないのだなあ、と思いました。そこは避けて、取りやすいところから取ることしか考えられないのだろうと思います。たとえ50円でも庶民のふところを守れたのはよかったなあ、と思っています。