四日市市では公害をテーマにした資料館をつくる!
所属委員会が所管するテーマを視察するという「委員視察」で、四日市市を視察しました。いま私は環境委員会で、これはぜひ、と思った施策があったのです。「(仮称)四日市公害と環境未来館」をつくるという計画です。
四日市も川崎もかつて、たいへんな公害の被害に苦しんだまちです。どちらも公害裁判で被告企業と国が断罪され、自治体もいっしょに、被害者救済と公害の克服の努力を行ってきました。四日市市はその記録が風化しないうちにきちんと残し、後世に伝えることにしたというのです。
展示基本計画案が出来上がっており、平成27年3月オープンを目指して、いま、展示内容がほぼかたまってきているということでした。目的は、公害を二度と繰り返さない決意のもと、過去を知り、学ぶことで現在を見つめなおし、今の取り組みを発信して「公害のまち」のイメージを克服していきたい、ということだといいます。最もひどいころの写真や公害裁判の全記録だけでなく、当時の関係者のインタビューを映像で流すそうです。そのなかには、ぜんそく患者さんも、加害企業の役員もいるそうです。
私は思わず質問しました。「公害のまちだったということを発信しないほうが、イメージの克服になると思わなかったのか」。担当の課長さんは「臭いものにふたをしても克服できない。反省すべきはきちんと反省して、その姿を見せることが本当の克服」と言い切りました。子どもたちに、公害がいかにひどいことだったのかということをきちんと見せて、繰り返さない決意を受け継いでもらうことが大事だということは揺らがないといいます。予算はなんと7億円。川崎市の予算規模に直すと、35億円に匹敵します。
川崎市はどうでしょう。「公害は終わった」と、市役所前にあった、NOXなどの数値の電光掲示板を撤去してしまい、この歴史を隠すことに躍起です。人の命よりも企業のもうけに走ったために何が起こったのかということを伝えなければ、これからも同じ過ちを繰り返す可能性はあるのです。四日市市の姿勢に本当に学ばされた視察でした。