福島県郡山市で「ペップキッズこおりやま」視察しました
福島県に視察に来ています。1日目は郡山市と喜多方市。郡山市では子どもたちの屋内の遊び場「ペップキッズこおりやま」を訪問しました。
震災と原発事故で、福島の子どもたちはたいへんなストレスにさらされました。外で遊べないことは、子どもたちの発達にも影を落とします。郡山市は震災直後から対策を取り始め、おととし12月、7,000㎡という大きな屋内の子どもの遊び場を開設します。その経過と実際の様子を視察したのです。
市の担当者は女性でした。あとで聞いたら3歳のお孫さんがおられて、まさに震災後の子育ての苦悩を体感されておられました。彼女は震災時児童館の担当で、その児童館も避難所になり200人の被災者のその日の食べ物、寝るところに奔走してました。震災からわずか10日後、市内の小児科医の先生が恩師の慶応大学の先生を連れて「子どもたちの心の傷のケアをしなければならない」と言ってこられたというのです。何を言われているのかわからないくらい驚いた、というのが出発点でした。
「子どもにとって遊びは発達であり、外で遊べない子供たちが将来どうなるのかわからない」「今、遊び体を動かさなければ将来は取り戻せない」と、原発のために外に出られない子どもたちをものすごく心配され、専門的な支援が必要だと3月29日、教育委員会と市の子ども部、医師会が共同して第1回の会議を開き、「郡山市震災後子どもの心ケアプロジェクト事業」をたちあげます。被災地では最も早い対応でした。研修会を積み重ね、屋内でも外遊びと同じような効果がある遊び方を工夫し、実際にそれを行うことができる施設をついに開設します。事業に賛同したスーパーの社長さんが場所と施設を寄付し、国や県の基金を活用して市が直営で運営するという方式でした。
それがこのペップキッズです。中の遊具は北欧から輸入したものなど、子どものためによく考えられたものばかり。保育園や幼稚園からバスで来たり、お母さんにつれられた子どもなど、ほんとに賑やかでした。学校の校庭や保育園幼稚園などはすでに除染が進み、市としては外遊びを実際に行うようにと話しているようですが、お母さんたちはまだまだ不安で、難しいといいます。そうしたお母さんたちのメンタルケア事業や、さらに4か所の遊び場づくりなど、これからも事業を展開するとのことでした。
震災直後はとにかく避難所の対応で精いっぱい、ということしか予想していませんでした。しかし、困難はもっとたくさんある。対応が遅くなればなるほど困難が広がっていく。今わかることは、いまから対応をするべきだと思うのです。たとえば、障がい者の避難所、避難しなくても済んだ障害者や子どもたち、高齢者の日常をどうするのか。そこに思いをはせることができた、ほんとに貴重な視察でした。