視察二日目は仙台市です
委員視察2日目は仙台市です。視察項目は二つ。中小企業活性化条例と、震災による宅地崩落の復興について。どちらも時間が足らなくなるくらい、勉強になりました。
中小企業活性化条例は、川崎市にもあって、言葉の使い方はたいして変わらないようですが、その活かし方がまったく違いました。何よりもまず、この条例の実践のために30億円の基金を創設し、10年くらいで使いきるというのです。年間3億。地元のために新しい事業を起こして、コンテストで大賞をとったら50万の賞金と専門のクリエーターを派遣してホームページをたちあげるとか、自治体の仕事じゃないみたい。担当者は「本当の活性化につなげるには、決して十分ではないが、市の本気度を見せられていると思う」と言います。これから、現場の中小企業の社長さんたちを巻き込んで、その人たちがやってほしいことをどんどんやっていくのだと、意気込を語ります。同じ条例作っても、予算もつけず何にも変わらない市とはえらい違いだ。
宅地の震災復興について視察に来たのは2度目です。40年以上も前に谷を埋めて作った「大規模盛り土」が地震で地盤ごと崩れる「滑動崩落」の現場を視察したのは震災の翌年の10月でした。川崎市内にもたくさんあり、阪神大震災以来、対策をもとめ続けてきましたが、家が建っている下を補強するので、なかなか進んでいません。しかし、あの時、大きな地震が来ればこんなになるんだと、息を飲んだことを覚えています。その時の写真も載せておきます。
その同じ場所に再び来ました。すっかりきれいな住宅街になっていました。まだ更地が多いことが復興のたいへんさを物語っていますが。見かけは元通りですが、土の下にはたくさんの補強材が入っています。どこに何を入れれば補強になるのか全部計算し、200か所ちかい宅地をそれぞれの地盤の特徴に合わせて直したそうです。本当に苦労して確立した手法やマニュアルは、他都市にも生かせる貴重なものだと感じました。
翻って川崎市にどう生かすか。担当の方に繰り返し聞きました。実際に震災にあって崩落したところを直すのではなく、あらかじめ対策を打てないのか、と。実際に家が建っている下の土の中を詳しく、ここが崩れる、ということまで調べることは無理だけれど、およそのことはわかるのだそうです。問題はそれを住民にきちんと説明して、住民もそれを理解して、一緒に対策を打てるかどうか。かなりの費用が掛かるが、それを個人負担にさせず、公共の仕事として財政が出せるかどうか。それができればある程度の技術は確立していると言います。
手をこまねて、結局、地震が来て大規模な崩落が起き、長期間の避難生活をしなければならなくなるよりも、起きる前に防ぐ手立てを作るべきなのではないかとつくづく思いました。