井口まみ
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緑地保全の陳情の審査をしました

多摩区西生田4丁目の緑地を保全してほしいという陳情の審査を、11月17日の市議会まちづくり委員会で行いました。

IMG_0494対象の緑地は小田急線のよみうりランド前駅から直線距離なら南へすぐ。急坂を登って行ったところです。谷間のくぼ地で、11年前にマンション業者が買ったのですが、計画が浮上しては消え、結局ずっと放置されて、いまや大きなケヤキやクヌギなどの大木の上がクズに覆われ、不法投棄までされています。

争点は、2000㎡にも満たない、しかも川崎市の緑地保全の優先度でBランクの緑地を、最終的には市が買い取りをして保全するというかどうか、です。陳情の審査の際には最初に市としての態度が表明されますが、「ここはBランクでもあり、事業者が事業を継続して行うと言っているので、保全は難しい」とあっさりといいました。

川崎市は2002年に市内のすべての1000㎡以上の緑地を保全配慮地区として調査し、植生や景観などで点数をつけ、A、B,Cとランク分けしました。このランクの中で3000㎡以上のAランクを優先的に特別緑地保全地区に指定して最終的には買い取りをすることで、永久的に緑地として保全することにしてきました。2014年にはさらに保全すべき緑地を拡大するために点数を見直し、Aランクが拡大しました。この15年間で特別緑地保全地区は6倍以上になり、現在128ヘクタールになりました。狭い市域のほとんどが市街化区域の川崎市がこれほどの緑地を持っているというのは、かなりの努力だとは思います。

カルテKR6014いっぽう、Bランクは、保全すべき緑地ではあるものの、優先的に市が取得する対象にはなっていません。この西生田の緑地はずっとBランクで、17点からAランクなのですが、13点。あと4点足りません。でもクズの葉を取り払って下草を刈れば2点、市民が保全の申し出をすれば1点など、あと4点はすぐにも加点できそうなところなのです。2010年からはAランクであれば、1000平方メートル程度でも保全の対象にしたので、ここも十分対象地域になります。ほんとうに保全したいのであれば市民と一緒にそういう知恵を出して、Aランクにすればいいではないか。草がぼうぼうだからBだから保全しませんというのは違うのではないか。まずそう指摘しました。

緑地保全状況もうひとつ。たとえBランクであっても、保全しなければ川崎市の緑はどんどん減ってしまうということも追及しました。川崎市環境審議会の答申の中に、A、B、Cランクの面積のグラフがあるのですが、10年間で保全配慮地区の合計が減っています。その主な原因は、Bランクでまだ保全の手立てが打たれていないところ、まさに4丁目地区のようなところが開発され緑地でなくなっていっていることなのです。いくらAランクを追いかけていても、これでは緑地がどんどん減っていく。川崎市が目標としている市内の3割を緑で覆うためには、Bランクを保全しなければならないことの証明です。

私は質問の中で、「市街化区域のなかのBランクの小さな緑地は、家のすぐそばにあって、カブトムシなんかがいて、子どもたちや高齢者が自然の中でゆったり暮らすために活用できる、まさに身近な自然になる。市民がそういう使い方をするためにBランクの緑地を活用するよう、方針を持てばいいではないか」といいました。保全するための施策を考えればいいのです。かつてはいろんな知恵で緑地を保全してきました。質問の中で、私から高津区の津田山、麻生区のクジラの森や多摩美の斜面地をどう保全してきたのか、市がどういう工夫をしたのか上げました。若い職員は知らないのですね。そういう知恵も行政に求められている、とただしました。答弁は「Bランクも保全する大切な緑地にかわりはなく、保全協定などを結んでもらうよう努力する」と繰り返し言われていました。

ほかの会派の議員からも「不法投棄はひどいので、所有している業者に対応するよう申し入れるべき」「開発業者から直接市が買って保全した例はあるのか」などの質疑があり、市も「緑地として保全する協定を結んでもらうよう、引き続き事業者には申し入れる」と答えました。結局陳情は「今後の市の対応を見守る」ということで継続審査になりました。でも、川崎市という都市部で緑地を保全する重要性を確認できた議論だったのではないかと思います。ひさしぶりに緑の課題を議論できてよかったと思います。