井口まみ
井口まみ井口まみ

昨年度決算を審議しています

川崎市議会は昨年度の決算を審査しています。どういうお金を使ってどういうことをしたのか、しなかったのか。

私は環境分科会で、環境局、上下水道局、港湾局、交通局の担当。2日間で合計40分の質問をしました。その中で2つ、報告しようと思います。

一つは工業用水道について。工業地帯を抱えている川崎市は、市として塩素のない水を作り、大企業などに売っています。水道と同じように基本的に独立採算で、昨今の不景気で水の需要が減って経営も苦しい状況です。で、大きな企業が撤退するこの機会に規模を縮小しようという計画案が出ます。

問題は、川崎市の工業用水道事業は、もともとやたら大きくしすぎて、市民の飲み水である上水に迷惑をかけてきた歴史があることです。工業地帯がどんどん大きくなっていた60年代、欲しい水の量を確保するのに、工水独自で水源開発をせず、当時設立しようとしていた広域水道企業団という、神奈川県東部の自治体で共同開発した水源からとることにしました。工業会からも切実な要望書が出て、川崎市はこの企業団からの受水量を、飲み水に工業用水の分を足して決めたのです。飲み水だけの要望の倍になりました。ところが、企業団の施設が完成した70年代初頭には高度成長が終わり、工水はそんなにいらなくなりました。だからと言って企業団に対して水を買わないとはいえません。企業団は設備投資のお金を払わなければならないからです。やむなく決めた量の水は上水が企業団から買って、工水は使用量にかかわらず定額でちゃんと買い続けるというしくみにしました。ほかに例のない「補てん水」というものです。

そのご50年以上、何度も工業用水道事業会計を審議する際に、この上水受水費の多さが問題になりました。利用している企業から、負担額が大きい、下げてほしいといわれるが補てん水があるから下がらないというわけです。そのたびに私たちはこの歴史を確認し、「もしも工水を下げれば、企業団に払っている水道料金を上水が負担しなければならず水道料金の値上げにつながる」と指摘し、それを局はずっと認めて、工水の料金の値下げには慎重でした。

ところが今年、そこに手を付けるべく計画策定が始まります。そこで、あらためてこの歴史を確認しました。局はしぶしぶ、企業団からの受水量の中に工水分があることを認めました。水道料金に押し付けることはするなと求め「慎重に検討する」と。私の時代の大事な答弁です。

もう一つは、プラスチックの一括回収。川崎市は来年度一つ穂行政区で、3年後に全市で今は回収していないプラスチック製品を容器包装と一緒に回収し、再資源化するということです。CO2を出しながら燃やすことをやめるには大事なことですが、この収集や運搬などの費用はすべて自治体もちというのがおかしい。製造者責任を明確にし、国の補助も入れるよう強く求めるべき、と正しました。収集業者も民間委託なので、低い予算で車をあつらえさせ、人を雇い、競争入札で競わせます。こういう仕組みもどうなのかと思います。課題が多いことを指摘しました。

来週は市長に対する決算の総括質疑。小堀議員が質問に立ちます。まだまだ暑い議会が続きます。