井口まみ
井口まみ井口まみ

高齢者のグループホームを視察しました

IMGP0050認知症対応型高齢者グループホームの運営がたいへんだという相談を受けたのは、今年の初めでした。認知症の方が自宅で過ごせなくなったとき、特別養護老人ホーム以外に行くところはほとんどありません。しかし川崎市では特養ホームの待機者は5000人を軽く超え、6000人に迫ろうという事態。このグループホームが最後のとりでなのですが。どんなことになっているのかと、横浜市の社会福祉法人が運営しているところを実際に見せていただきました。

グループホームでは、9人が1つの単位で、日中は3人の職員と、夜間は1人の夜勤職員を配置するのが基準です。9人が入れる建物と言えばかなり大きく、その家賃も大きくなります。光熱費や消耗品費も含めると、介護保険の報酬とわずかな国の補助金だけではとても足りず、どうするかといえば、利用者からその足りない分を徴収するしかありません。食費も含めて安いところでも月12万。介護保険の利用料がおよそ3万円がかかるので、どんなに安くても15万円は毎月かかってしまいます。中には月20万円近いところもあります。これでは、お金のある人しか入れません。

昨日視察させていただいたグループホームは、低所得の方、生活保護の方でも入居できるようにしたいとたちあげたところです。コストをぎりぎりに絞って、何とか運営していますが、一人でも入院してしまったら、たちどころに赤字だそうです。だから、転ばないように、病気にならないように、体操をして健康管理することが、いちばんの課題だと、笑い話でなく言われていました。

お金を取って、ただそこに住まわせるだけなら、そういう人だけ対象にすればいいが、社会には本当に介護できず困っている人たちがたくさんいる。だから利用者負担を何とか少なくして、誰でもはいれるようにしてほしい。事業所はそれでも運営できるように、公的な補助をしてほしいと、強く言われました。

グループホームで、専門のケアがついてみんなで暮らすというのは、認知症の高齢者にとってとてもいいことのようです。それまで一人で部屋にこもってずっと動かなかった人が、1年たったらみんなの洗濯物をたたんで、みんなの部屋にお届けしている姿に家族の方はとても喜んでおられたとのことでした。ひとりの人間として、生きがいのある人生を最後まで貫けるステージを提供するのが高齢者福祉の在り方だと思います。ああ、こんなグループホームが川崎にもほしいなあ、たくさんほしいなあと思いました。公的補助は議会で取り上げますが、実際に作り上げるのは市民の手ではないだろうか。なにかできないだろうか、と思いながら帰ってきました。