緑地を自分たちできれいにしよう
多摩区菅仙谷に大きな団地が広がっています。その奥に、40年間まったく手の入っていない緑地があります。おそらくこの地域を住宅整備公団が開発したときに、川崎市が緑を確保しろといったので、いちばん勾配のきついはじっこの土地を市に寄付したものの、市も管理しきれず、放置されてきたと思われるところです。いまは、不法投棄されないよう鉄のさくに囲まれて、とても入ることはできず、すっかり太くなった木が生い茂り、団地の敷地内に枯葉が落ちて、その掃除がたいへんという厄介者でした。
この団地の人たちとふとしたことから知り合いになり、この山をみんなで手入れしようと提案したのは2月のことでした。団塊の世代が増えてきて、地域にまったく知り合いがいない。これなら楽しみながらできるね。カブトムシの幼虫を飼おう、しいたけも育てよう。夢が広がりました。さっそく市の担当者を紹介し、話を始めるはずでした。
ところが、ちょうど川崎市は機構改革で公園の整備の担当を区役所に分散したために、引継ぎがされず、まったく相談に乗ってくれないということが続きました。団地の人たちはがっかりして、「もういやになった」というところまでいってしまいました。
これではいけない。市民のやる気をそぐような市政では困ると思い、ちゃんと相談に乗ってくれる職員をみつけ、ようやく五月晴れの日、現地で相談会を持つことができました。山が大好きで、自分でこのなかに入って「こんな活動ができる」とあらかじめ考えてきてくれたこの職員に、「川崎市を見直した。よおし、がんばるぞ」と、やる気が出てきました。カブトムシを飼うまでにはまだ数年かかりそうですが、みんなでやればきっとできますよ。とても楽しみにしています。