小田急線を複々線に――生活をよくする交通とは、を学びました
小田急線の向ヶ丘遊園駅~新百合ヶ丘駅を地下2層化で複々線化に、という運動は、1993年に始まりました。そのころは「東京都区部が先」といわれていましたが、東北沢から登戸まで複々線化がほぼ完了し、いよいよ川崎市内の番がやってきました。大きな世論を作り実現させようと、「小田急線複々線化・地下2層化をすすめる会」が5月23日、多摩市民館で集会を開きました。50人が集まりました。
講演に交通権学会会長の上岡直見さんをお招きし「市民の生活の質を守る交通とは」という演題でお話しいただきました。これが実に目からウロコだったのです。サラリーマンが新百合ヶ丘から新宿まで40年間、定期を買って通勤すると、いまの額なら400万円以上小田急に払うことになる。そんなに多額のお金を貢いでいるのに、ぎゅうぎゅう詰めの車両に乗せられ、電話をするなと怒られる。これはまっとうなサービスなのか、という問題意識から入りました。もしも首都圏に鉄道がなく、移動をすべて自動車に頼ったら、移動時間がかかり、渋滞が一層ひどくなってもっと経済的な損失が発生し、その合計は約45兆円になる、という試算もあるのだそうです。上岡さんは、鉄道を今の生活に必要なだけ整備し、安全に快適に移動するのは国民の権利だ、と主張されていきます。
国の大規模な調査によれば、多摩区の人たちが家からどこかに移動するのに、どこにどうやっていくことが多いのかがわかっています。通勤や通学が圧倒的だと思っていたら、そうではなく、多摩区内の買い物や病院など普段の生活の中での移動が多い。だから手段は徒歩か自転車が半数近くを占めている。この数字もおどろきでした。上岡さんは言います。「だから市民が『行政は大きな道路ばかり作るのでなく、歩道や自転車道の整備をせよ』と求めるのは当然です」。なるほど~。市民生活の実態から、生活道路を整備するのは自治体の当然の責務なんですね。
小田急線の踏切はどれも有名な開かずの踏切です。1時間に40分や50分閉まっているのは日常茶飯事です。それは解決しないのに、国は品川―名古屋間を40分で結ぶリニア新幹線にはポンとお金を出してやる。これも全くさかさまだと、上岡さんはリニア新幹線の問題点も指摘されました。
交通の問題を市民生活の観点から見ることがあまりないので本当に新鮮で、身近なところに鉄道を整備することは当然の要求だと確信できました。
フロアからの発言も、「リニアのためにトンネルを掘ることはやめて、小田急の下に掘ろう」という意見や、「毎朝の通勤に、乗り切れずに取り残される人もいる。これは異常」というリアルな報告もありました。「すすめる会」から市議会への請願署名も提案され、これから取り組むことになりました。
私も12月議会で「川崎市が率先して複々線化実現への働きかけを行うべき」という質問をしたことを報告し、一緒にがんばることを申し上げました。
これはきっとたくさんの市民の皆さんの願いだと思います。どんどん広げていきたい運動です。