川崎市議会第4回定例会一般質問速報「水道の民営化・広域化について
12月14日の川崎市議会第4回定例会の一般質問で、水道の民営化・広域化についてとりあげました。やり取りの速報を載せます。正式には3ヵ月後くらいに会議録ができますが、動画は市議会のホームページで見ることができます。
12月14日 川崎市議会第4回定例会一般質問
「水道の民営化・広域化について」 井口真美
【質問①】
水道事業の民営化について、始めに市長にうかがいます。
12月5日、国会において水道法が改定され、事実上水道の民営化が合法化されました。横浜市や千葉市では、市長が民営化はしないと言明されていますが、福田市長の見解をうかがいます。
【答弁】
水道事業の民営化についての御質問でございますが、今回の水道法改正は、人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、人材不足等の課題に対して、水道事業の基盤強化を図るものであり、その手法のーつである官民連携の推進につきましては、多様な官民連携の選択肢をさらに広げるものであると認識しているところでございます。
本市では、これまで全国に先駆けて、水道事業の再構築などによる経営基盤の強化を図ってきたことから、水道施設の耐震化や更新などの財源を適切に確保しており、今後も引き続き、経営の効率化に努めることにより、将来にわたっても安全安定給水を確保できるものと考えております。
こうしたことから、本市においては、今回の水道法改正に伴う民営化については、慎重に判断すべきであり、現時点では、公営企業による運営を維持することが望ましいと吉えております。
【質問②】
川崎市長も「現時点では公営企業による運営を維持することが望ましい」という見解を示され、民営化はしないということでした。民営化していた水道を再公営化している世界の教訓からも、命の水をもうけの対象にするようなことは、絶対やってはならないことを改めて求めておきます。
次に、上下水道事業管理者にうかがいます。今回の法改正は水道施設の老朽化などに対応するため、民営化で効率的な経営をするということがうたい文句で、民営化しないのであれば料金が上がるといわれているわけですが、本市では水道料金があがることはないのか、うかがいます。
【答弁】
水道料金についての御質問でございますが、水道事業では、持続可能な事業運営を行えるよう、再構築計画に基づく浄水場の統廃合や効率的な執行体制の構築などによる経費の削減、資産の有効活用による新たな収益の確保など、経営の効率化に向けた取組を進めているところでございます。
こうした取組により、中期計画期間においては、現行の料金水準を維持するとともに、人口減少に伴う水需要の減少など、将来の事業環境の変化に備え、料金制度の在り方について検討を行い、持続可能な経営基盤の確保に努めてまいりたいと考えております。
【質問③】
少なくとも平成34年度までの中期計画期間においては、値上げはないということでした。本市の水道事業は、再構築計画を市債を発行せずに成し遂げるなど、独自の道をしっかり歩んでいます。国の民営化ありきの思惑に乗せられて、市民生活を圧迫するようなことがないよう、求めておきます。
今回の法改正では、水道事業の広域化も推進されることになりました。広域化そのものはすでに行われていますが、新法は、国が基本方針を定め、都道府県が計画を定めるなど、つまり国が主導して県単位に水道事業を広域化するという内容です。これは自治体がそれぞれの歴史の中で培ってきた独自の自己水源を切り捨てさせるものです。
自己水源をなくし広域化する問題は、山口県の周防大島町(ちょう)が明らかにしました。10月にタンカーが橋にぶつかって、橋を渡っていた水道管を破損し、復旧までに1ヵ月半かかり、それまですべての水を給水車で運ばざるをえませんでしたが、この町にはもともと集落ごとの簡易水道があったのです。広域化して自己水源をなくしたことが、このたいへんな事態を引き起こしたもともとの要因でした。広域化はまさに自治体ごとの事情を否定して、遠くのダムから高い水を延々と運んでくるものであり、災害時には本当に止まることを心配しなければなりません。
そこで上下水道事業管理者にうかがいます。災害や不測の事態でも水を安定的に供給するためには、単一の水源や系統に統合するのではなく、複数の水源と、複数の配水系統が必要であり、それが効率的であるためには、やはり自治体ごとの歴史や地形を生かしたものであるべきと思いますが、管理者の見解をうかがいます。
【答弁】
水源及び配水系統についての御質問でございますが、本市の水道は、相模川水系を水源とした長沢浄水場と酒匂川水系、相模川水系を水源とした神奈川県内広域水道企業団からの受水により給水しており、複数の水源を確保しております。
また、主要な配水池へは、長沢浄水場と企業団からの2系統の送水を確保するとともに、配水系統にっいては管網が構築されていることから、ネットワーク化によりリスク分散が図られております。
今後につきましても、本市の地形を生かした自然流下による水道システムを継続し、効率的で安全・安心な水の供給に努めてまいります。
【意見】
本市も宮内から多摩川の水を引いて戸出に浄水場を作って近代水道として発足してから、今年で97年です。多摩川の水が取れなくなって、多摩区の地下水を掘り、戦争中に相模湖からたいへんな難工事で隧道を掘り、水源を確保して川崎市民の命を守ってきました。相模湖からの水は、管理者が言われたように、相模湖から臨海部まで自然流下で、ポンプをほとんど使わずに給水できる、先人たちの知恵の詰まった水道です。これをしっかり守っていくというご答弁として、受け止めていきたいと思います。
いっぽう、神奈川県内広域水道企業団の水は、やっぱり広域化の弊害をまぬがれません。川崎市も多摩区の井戸という自己水源をわざわざなくして、日量10万トンの供給能力を手放しました。昨年、タンカーはぶつかりませんでしたがヒューズが飛んで、ポンプがこわれ、企業団から水が来なくなった。こういうリスクをかかえています。これは複数水源、複数系統とはいえないのではないかという問題は次の機会にうかがいたいと思います。