翌日は茨木市、京都市の視察です
2月5日は大阪から京都へ。午前中は茨木市で重度障がい者の一人暮らしを24時間支えている事業者のお話を聞いて感動し、午後は京都で高齢者のデイサービスを地域の中で展開しようと奮闘されているスタッフの方たちにこれまた感動しました。
茨木市の社会福祉法人「ぽぽんがぽん」は、20年前から、重度の知的障がい者の方の一人暮らしを支えています。重度の人は施設しか行き場がないと言われていた頃から、です。コンセプトは「本人が決める」。いまは総合支援法の中に重度訪問介護という枠ができたので、人件費はほぼ賄えているとのことですが、言葉で意思疎通ができない方の願いを尊重して支援するのは本当に大変です。ヘルパーさんたちがそれを粘り強くされてきたことはすごいと思います。映像で、最初は思いが伝わらないと噛み付いてしまった人が、今は好きな献立を考えてスーパーで買い物をして、楽しそうに暮らしている姿を見て、こんな支援を求めている人は川崎にもきっといる、と思いました。
京都市西京区の「西院デイサービスセンター」は、市の指定管理の施設で社会福祉法人がデイサービスを行なっていますが、これまでの枠に囚われず、地域の中で認知症の方が輝いて暮らせるようにする、という取り組みをしなやかにされています。こちらも「当事者が主役」。あぁ、昨日からずっとその言葉がキーワードです。認知症になったからといって、やりたいことはある。働いて周りの人に喜んでもらえたらうれしい。そんな思いを最大限尊重するケアができるのだと、つくづく思いました。
昨日今日と共通して言われたのは、「地域の中で普通に暮らすには、まわりの人たちが、障がい者も認知症の高齢者も同じ地域の住人だということを実感する必要がある」ということでした。隔離したり隠したりしないで、ふれあう機会を作ること。今の地域社会では難しいことですが、それを避けて「多様性」だの「地域福祉」だのということはできないと思いました。それを行政がどう関わっていけばいいのかというのは、また難しいところですが、熱意のある民間の方たちが工夫を凝らして実践されていることを応援する行政であるべきだと思いました。さて、川崎でどうするか。
西院デイサービスセンターで作り、ブランド化して河原町のおしゃれなショップで売っているカッティングボード(要はまな板ですよね)は8千円です。1ヶ月かかって丁寧にみがいた逸品です。この報酬として、近所の商店街で使えるチケットをもらって買い物をするお母さんたちの嬉しそうな顔は、たぶん忘れられない。