ナラ枯れの現地を見学しました
川崎市内の緑地で「ナラ枯れ」が深刻です。議会でも何人かの議員が取り上げています。先日、ご近所の方から「議員に現地を見てほしい」というご依頼があり、私は現地を見たことがなかったので、この機会にと道路公園センターの担当者の方に来てもらって説明を受けました。
これはカシノナガキクイムシという5ミリくらいの虫が、コナラなどの幹に穴をあけて卵を産み、それが孵化して成長していく過程で幹の中の水を吸い上げる管などが断絶して枯れてしまうというものです。幼虫が木を食い荒らすのではなく、成虫が菌を同時に植え付け幹の中で菌が増殖、その菌を幼虫が食べるので、菌を殺すワクチンもあるそうです。虫はそんなに小さいのに、幹に穴をあけた木くずが写真のように山のようになっているのですから、相当の数がいるのでしょう。一つの山のコナラの3割が枯れているというところもあるとか。一本の大きな木の葉が全部茶色になっているので、ああ、あれも枯れたんだな、とほんとによく目立ちます。
関西で5年ほど前に大流行したそうで、関東にはおととしの台風の風に乗ってやってきたのではないかということでした。担当の方がとても詳しく説明してくれ、何千年に及ぶ虫と樹木の共存の歴史のなかで、虫は基本的に若い木には入らない。山全部の木を枯らすことはしない。関西でも5年もしたら流行が収まった。残念だが撲滅はできないので、最低限の管理をして様子を見ている、ということでした。
最低限の管理とは何か。虫が入ることを止める手立てはなく、人家のそばなど倒れると危険な木を抽出して、伐採などを行うとのことでした。いま、そういう木がどこにどれだけあるのか把握しているが、特に今年になって枯れた木が増えているので、あちこちを回っているとのことでした。また、どうしても残したい木、例えば御神木やシンボルツリーなどは木全体を燻蒸したり、先ほどのワクチンをすることもあるが、とてもお金がかかるのでどこでもできるというわけでもないそうです。小沢城址のてっぺんには直径2メートルの木があり、どうしても残したいとワクチンを行ったそうですが、成虫の空けた穴が多すぎて水を吸い上げる力がなくなり枯れてしまったそうです。私に相談された方は説明を聞いて「市が手をこまねいているというより、対応しているが数が多すぎて追い付いていないということのようだ」と言われましたが、私もそういう印象でした。また、私有地の木は地主さんの管理下なので、そちらへのこうした詳しい周知と対策への支援が必要だと思いました。
自然の力に逆らうことはできないなあ、というのはこの頃の実感です。コロナもキクイムシも台風も。でも、少なくとも、手をこまねいて、できることもしないで被害を拡大させることは許されません。そのための公助です。それをさせるのが私の仕事です。今日の話も参考にして、皆さんと相談したいと思います。