高齢者を住まいから追い出すなーー切実な声をうかがってきました
高齢者の住まいをずっと問題にしてきました。川崎市は全国平均よりも単身の高齢者が多く、賃貸住宅に住んでいる割合も高い。市営住宅は平均でも10倍を超えていて、駅のそばなどは70倍。介護保険による入所施設や有料老人ホーム以外に高齢者向けの住宅というのは本当に少ない。そのなかで、何とか安く住めるという「高齢者向け優良賃貸住宅」という制度があります。私の地元にも「ビスターリ宮ノ下」という建物があります。
ここでいま大問題が起きています。管理している住宅供給公社から「来年9月から家賃が大幅に上がるので、払えない人には新しい住宅を紹介しますがどうしますか」という通知が来ているのです。住民の方から「どうして?暮らせない」と切実な相談があり発覚しました。
川崎市内には8棟あって、すでに1棟は家賃が上がっています。その問題を昨年同僚の片柳すすむ前議員(現神奈川10区予定候補)がとりあげていました。しくみはこうです。この高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)は、オーナーが個人や住宅供給公社で、建設費にも国の補助がありますが、入居者の家賃にも所得に応じて国と市が補助しています。このビスターリ宮ノ下では、多くの方が月3万円ほどの補助をうけていますが、問題は、建設してから20年たつと、この補助が打ち切られるのです。で、すでに補助が終わている「ビバース境町」では、やはり入居者がとても払えないというので、そのオーナーである住宅供給公社は、自ら身銭を切ってそれまでの補助の2分の1を続けることで何とか解決しました。ところが、多摩区のビスターリ宮ノ下のオーナーは個人の方で、とてもそんな負担はできない、とのことで、もろに3万円も家賃が上がるという結果になるのです。
こんな不公平な話はありません。私は早速6月議会でとりあげましたが、市の対応は「同等の家賃のところをご紹介する」というだけで、つまり引っ越せというのです。このてんまつを載せた議会報告をもって、先日、24軒すべて訪問しました。
3軒は空き家でした。5件は留守。あとの16軒とは対話できました。一人の方は「初めからそういう約束だったから仕方ない」と言われましたが、そのほかの方はすべて「そんな話は聞いたことがない」「5年前に来たがその時の説明には絶対になかった。あれば来なかった」という方。「確かに言われたかもしれないが、こんなに物価が上がるなんて誰が思うか。年金は下がるし月3万円なんてとても出ない」「妻が骨折して寝たきりになった。90近くなって今更どうやって引っ越すのか」とすべての方が戸惑いや怒りを口にします。アンケート用紙を渡して「言いたいことを送ってください」というと全員が受け取りました。
そして「誰かに相談したかった。来てくれてありがとう」「困ったときは共産党というのはほんとだな」などという言葉がうれしかった。来てよかったと思いました。すぐにアンケートが次々と返信されてきています。事務所に差し入れをしてくださった方もいました。
解決策は一つしかありません。家賃補助を続けて住み続けられるようにすることです。個人のオーナーにそれを押し付けることは無理で、これまで通り行政が行うべきです。冒頭にも書いたように、ほかに高齢者の住み続けられる家がないのです。80歳も過ぎてから引っ越しを強要するような政治は許されません。なんとしても手立てをとらせたいと決意しています。